順天堂大学医学部循環器内科学講座
肺高血圧グループ
小西 博応HAKUOH KONISHI
順天堂医院では、膠原病内科、呼吸器内科、消化器内科、小児科と連携し、肺高血圧症診療を行っております。
肺高血圧治療について
肺高血圧症に対する治療薬が開発され、肺高血圧治療は、20年で大きく進歩した領域です。肺動脈性肺高血圧症の予後は、劇的に改善されている一方、早期診断、治療も重要であり、肺高血圧症専門外来を3人の循環器専門医で行っており、2020年12月現在、肺動脈性肺高血圧症患者51人と慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者41人が外来通院をしております。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
当院では、肺高血圧症を合併する可能性のある結合組織病・門脈圧亢進症患者の通院数が多く、膠原病内科と消化器内科から多くの患者が紹介されて来ております。肺動脈性肺高血圧症診療において、基礎疾患を有する場合、結合組織病・門脈圧亢進症への治療も重要であり、特に院内連携に力を入れて診療をしております。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)について
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対し、バルーン肺動脈形成術(BPA)を行っております。
器質化血栓が葉動脈から区域枝近位部に存在する中枢型CTEPHに対しては外科的手術が第1選択かつ根治術とされてきましたが、外科的手術不適応例に対し、当院でもカテーテル治療(BPA)を行っております。
バルーン肺動脈形成術(BPA)について
バルーン肺動脈形成術(BPA)は、器質化血栓により狭小化した肺動脈を、わずかでも拡張すれば肺動脈圧の低下が期待できるという発想のもと、開発されました。(図1)
局所麻酔下に頸部もしくは鼠径部(足のつけねの部分)にシースと呼ばれる管を挿入し血管確保します。その後、適切なサイズのバルーンで拡張し詰まっている肺血管を拡げ、て肺動脈圧、および動脈血酸素飽和度を改善させる治療法です。肺血流シンチグラムからも、血流の改善がBPA前と後では改善が確認できています。(図2)
図1 バルーン肺動脈形成術(BPA)
図2 肺血流シンチグラム